ラボくん質問役
黒岩さん、商工会の人から「持続化補助金、個人事業主でも使えますよ」って言われたんですけど、正直ピンと来てないんですよね。うちみたいな軽バン1台の個人事業主でも、ほんとに対象になるんですか?
黒岩解説役
なりますよ。正式名称は「小規模事業者持続化補助金<一般型>」です。個人事業主も法人も対象で、従業員を雇っていない一人親方の軽貨物事業者でも申請できます。ただし勘違いされやすい制度なので、まず前提から整理しましょう。
ラボくん質問役
勘違いされやすいって、どういうことですか?
黒岩解説役
一番多いのが「軽バンを買う補助金だと思っていた」というケースです。結論から言うと、この補助金で車両は買えません。あとで詳しく説明しますが、そこを誤解したまま申請書を書き始める事業者さんが本当に多いんです。
ラボくん質問役
えっ、そうなんですか!てっきり車両の買い替えに使えると思ってました…。じゃあ何のための補助金なんですか?
黒岩解説役
「販路開拓」のための補助金です。商工会・商工会議所と一緒に経営計画を作って、新しいお客さんを獲得したり、業務効率を上げたりする取り組みにかかる経費の一部を補助してもらえる制度なんです。軽バン1台の個人事業主でも、使い方次第でしっかり活用できます。

制度の特徴・類型

黒岩解説役
まず全体像です。この補助金は正式には「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>」といって、現在は第20回の公募が動いています。商工会の管轄地域で事業を営む小規模事業者が対象で、商工会議所の管轄地域は別窓口になります。
ラボくん質問役
商工会と商工会議所って違うんですか?似たような名前ですよね。
黒岩解説役
別組織です。ざっくり言うと、市街地の商業地は商工会議所、それ以外の地域は商工会が管轄していることが多いですね。自分がどちらの管轄かは商工会検索のページで確認できます。この記事では商工会地域向けの情報を中心に解説します。
ラボくん質問役
なるほど。それで、通常枠のほかに種類はあるんですか?
黒岩解説役
通常枠に加えて「インボイス特例」「賃金引上げ特例」という上乗せの仕組みがあります。これは補助額のところで詳しく説明しますね。ほかに創業型や災害支援枠もありますが、今回は軽配送の個人事業主に一番関係が深い一般型 通常枠に絞って話します。
ラボくん質問役
わかりました。じゃあ、肝心の金額を教えてください。

補助額・補助率の詳細

黒岩解説役
ここが一番聞きたいところですよね。基本の補助上限は50万円、補助率は2/3です。つまり75万円の取り組みをしたら、50万円が補助の上限になるということです。
ラボくん質問役
2/3ということは、100万円使ったら67万円くらい戻ってくるってことですか?
黒岩解説役
上限に張り付くのでそうはなりません。100万円使っても補助率2/3で計算すると66.7万円になりますが、上限が50万円なので、もらえるのは50万円までです。ここは特例を使わない限り変わりません。
ラボくん質問役
なるほど、上限があるんですね。特例っていうのは何ですか?
黒岩解説役
2つあります。1つはインボイス特例で、免税事業者から課税事業者に転換する場合に補助上限が50万円上乗せされます。もう1つは賃金引上げ特例で、事業場内最低賃金を50円以上引き上げる場合に150万円上乗せされます。両方の要件を満たすと200万円上乗せ、合計で最大250万円まで補助上限が広がります。
区分補助上限額補助率
通常枠50万円2/3
インボイス特例(免税→課税転換)100万円(50万円上乗せ)2/3
賃金引上げ特例(時給+50円以上)200万円(150万円上乗せ)2/3(赤字事業者は3/4)
両特例を満たす場合250万円(200万円上乗せ)2/3(赤字事業者は3/4)
小規模事業者持続化補助金 一般型 補助額の仕組み
ラボくん質問役
賃金引上げ特例の「赤字事業者は3/4」ってどういうことですか?
黒岩解説役
賃金引上げ特例を選んだ事業者のうち、決算が赤字の事業者は補助率が2/3から3/4に上がる仕組みです。ただし軽バン1台で家族もいない個人事業主の場合、そもそも「従業員の賃金を引き上げる」という要件自体が成立しにくいので、多くの一人親方にとってはこの特例はあまり関係がないと思っておいてください。
ラボくん質問役
じゃあ、うちみたいな一人でやってる個人事業主は、基本的に通常枠の50万円で考えればいいってことですね。
黒岩解説役
そうですね。インボイス特例は免税事業者から課税事業者に切り替えるタイミングなら該当する可能性があります。次は、誰が申請できるのかを詳しく見ていきましょう。

対象者・申請資格

ラボくん質問役
さっき「対象になる」って言ってもらえましたけど、あらためて条件を教えてもらえますか?
黒岩解説役
まず「小規模事業者」であることが必要です。これは業種ごとに従業員数の基準が決まっていて、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は5人以下、それ以外の製造業その他は20人以下と定義されています。
ラボくん質問役
軽貨物の運送業ってどっちに入るんですか?
黒岩解説役
貨物軽自動車運送事業を含む運送業は「製造業その他」の区分に分類されます。つまり従業員20人以下が基準です。軽バン1台のあなたなら、従業員はゼロですから、この基準は余裕でクリアします。
ラボくん質問役
それは安心しました。ほかに条件はありますか?
黒岩解説役
個人事業主の場合、商工業を営んでいることが条件です。日本国内に居住していて、資本金5億円以上の大企業の傘下ではないこと、直近3年の課税所得の年平均が15億円を超えていないことも要件ですが、軽貨物の個人事業主であればまず問題になりません。もう1つ重要なのが「申請時点で開業していること」です。
ラボくん質問役
それ、どういうことですか?うちはもう4年目なので関係ないと思いますけど。
黒岩解説役
これから開業する予定の人(創業予定者)は対象外というルールです。開業届を出していても、届出上の開業日が申請日より後だと対象になりません。逆に言えば、あなたのように事業用ナンバー(通称: 黒ナンバー)の交付を受けて事業を始めている人であれば、開業1年目でも4年目でも関係なく対象になります。
ラボくん質問役
よかった、うちはちゃんと事業をやっているので大丈夫そうですね。

対象経費・対象外経費

黒岩解説役
ここが冒頭で言った「車両は買えない」という話につながります。対象経費は8つの区分があって、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費です。
ラボくん質問役
機械装置等費って何を指すんですか?軽バンに積む業務用の機材とかですか?
黒岩解説役
そこがポイントです。「機械装置等費」という名前から誤解されがちですが、公募要領には対象外となる経費の例として「自動車等車両」がはっきり挙げられていて、自動車、フォークリフト、キッチンカー、除雪車、キッチントレーラーなどが名指しで対象外とされています。軽バンの購入や買い替えは、この補助金では一切対象になりません。

⚠ 車両購入は対象外です

持続化補助金の対象経費には「自動車等車両」が明記されており、自動車・フォークリフト・キッチンカーなどは対象外です。軽バンの新車購入・買い替え・リース契約にこの補助金を充てることはできません。車両にお金を使いたい場合は、後述するCEV補助金や自治体のEV導入助成を検討してください。

ラボくん質問役
えー、それは知らなかったです…。じゃあ具体的に何に使えるんですか?
黒岩解説役
軽配送の個人事業主に現実的なのは、広報費とウェブサイト関連費、それに借料です。例えば、配送エリアや対応可能な荷物の種類を紹介するチラシの作成、名刺やパンフレットの印刷、集客用のホームページやランディングページの新規制作、Googleビジネスプロフィールと連動したサイトのリニューアルなどが該当します。
ラボくん質問役
パソコンとかスマホは経費にできないんですか?案件管理用にタブレット買いたいんですけど。
黒岩解説役
それも対象外です。パソコン、タブレット端末、スマートフォンなど汎用性が高く目的外使用になりえるものは原則として対象になりません。配車アプリを入れるための専用端末というだけでは通りにくいので注意してください。
対象になる経費の例対象にならない経費の例
集客用ホームページ・LPの新規制作費自動車・軽バン・フォークリフトなどの車両
配送エリアを紹介するチラシ・パンフレット印刷費パソコン・タブレット・スマートフォン
展示会・商談会への出展料日常業務のための出張旅費
業務効率化のための業務用ソフトウェア導入費(機械装置等費)単なる取替え更新で販路開拓につながらない備品
外部デザイナーへのチラシ・サイト制作の外注費中古品・オークションでの購入
ラボくん質問役
なるほど、意外と「モノを買う」よりも「知ってもらう・売る」ためのお金なんですね。
黒岩解説役
そのとおりです。次は軽配送の現場で実際にどう使えるか、具体的に考えてみましょう。

軽配送での使いどころ

ラボくん質問役
じゃあ、うちみたいな軽バン1台の個人事業主が実際に使うとしたら、どんな場面が考えられますか?
黒岩解説役
いくつかパターンがあります。1つ目は、スポット便だけでなく法人の継続案件を獲得したい場合に、対応エリア・対応可能な荷物のサイズ・料金体系をまとめたホームページを新しく作るケースです。ウェブサイト関連費で対象になります。
ラボくん質問役
それは欲しいです。今、名刺代わりのSNSアカウントしかないので。
黒岩解説役
2つ目は、地域の企業や個人向けに配送サービスを知ってもらうためのチラシ・ポスティング用の印刷物を作るケースです。広報費に該当します。3つ目は、展示会や物流業界の商談会に出展して新規の元請けを開拓するケースで、これは展示会等出展費です。
ラボくん質問役
うちの規模だと展示会出展はハードル高いですけど、ホームページとチラシは現実的ですね。
黒岩解説役
実際、軽貨物・運送業の個人事業主が採択されている事例の多くは、ウェブサイト関連費と広報費の組み合わせです。ただしウェブサイト関連費は、補助金総額の4分の1までという上限があるので、ホームページ制作費だけで申請額を組み立てることはできません。ほかの経費区分と組み合わせる必要があります。
ラボくん質問役
じゃあ「ホームページ作って、チラシも作って、印刷物を配る」みたいな組み合わせで経営計画を書くってことですね。
黒岩解説役
そのとおりです。ポイントは「新しいお客さんを獲得するための取り組みかどうか」です。既存のお客さんへの案内だけだと、販路開拓の要素が弱いと判断されやすいので、新規開拓の視点を必ず入れてください。

対象になる / ならない典型ケース

ラボくん質問役
ケースごとにもう少し具体的に教えてもらえますか?
黒岩解説役
ケースごとに表にまとめました。
ケース判定補足
事業用ナンバー(黒ナンバー)交付済みで開業4年目の個人事業主(白色・青色どちらも可)対象従業員なしでも「製造業その他」の20人以下基準を満たす
開業届は出したが申請時点でまだ事業を開始していない対象外創業予定者は対象外。実際に稼働していることが条件
軽バン1台のみ、家族専従者なし対象一人親方でも小規模事業者の要件は満たす
業務委託契約でヤマト・佐川等の下請けのみ、自分で集客活動をしない申請は可能だが採択されにくい経営計画に「自らの販路開拓」の要素が必要
法人成りした直後(設立1期目)対象法人としての要件(資本金・出資金基準等)を満たせば可
免税事業者から課税事業者に転換予定インボイス特例の対象になりうる上乗せ50万円の要件を別途確認する必要あり
ラボくん質問役
「業務委託契約のみだと採択されにくい」っていうのが気になります。うちもヤマト運輸さんの案件が中心なんですけど…。
黒岩解説役
完全にダメというわけではありません。ただこの補助金は「自ら経営計画を立てて販路開拓する」ことが前提なので、元請け1社に完全依存していて自分で営業活動をしていない状態だと、経営計画の説得力が弱くなりがちです。「スポット便や別の荷主も開拓していきたい」という方向性を計画に盛り込むことが重要になります。
ラボくん質問役
なるほど、依存先を増やす計画にすれば書きやすそうですね。
黒岩解説役
そういうことです。次は、実際に申請するときに必要な書類を見ていきましょう。

必要書類の実務

ラボくん質問役
書類って何を揃えればいいんですか?行政手続き系、本当に苦手で…。
黒岩解説役
個人事業主の場合、主に次のものが必要です。開業届(貨物軽自動車運送事業経営届出書の控えがあれば併せて)、直近の確定申告書、電子申請用のGビズIDプライムのアカウント、経営計画書(様式2)、補助事業計画書(様式3)、そして商工会が発行する事業支援計画書(様式4)です。

手続きの流れ

  1. 1GビズIDプライムを取得する — 申請の数週間前には取得しておく。アカウント取得には時間がかかるため、公募締切間際の取得は間に合わないおそれがある
  2. 2経営計画・補助事業計画を作成する — 電子申請システム上で「経営計画」(様式2)と「補助事業計画」(様式3)を入力する
  3. 3地域の商工会に事業支援計画書(様式4)の発行を依頼する — 面談を経て発行され、電子申請システムに反映される
  4. 4必要書類を揃えて電子申請システムで申請する — 締切時間(17時00分)までに全ての提出物を揃える
  5. 5採択発表を待つ — 採択後、計上した経費の見積書等を提出し、補助金事務局の審査を経て交付決定となる
  6. 6補助事業を実施する — 交付決定後に発注・契約・支払いを行う(交付決定前の発注は対象外)
  7. 7実績報告を提出し、補助金の入金を待つ — 事業完了後に実績報告を行い、確定検査を経て補助金が振り込まれる
持続化補助金 申請の流れ
ラボくん質問役
GビズIDって聞いたことありますけど、取ったことないです。
黒岩解説役
早めに動いてください。GビズIDプライムのアカウント取得には数週間かかることがあるので、締切間際に気づいて申請できなかったという事業者さんを何人も見てきました。それと、事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は申請受付締切より前に設定されています。今回の第20回公募では2026年12月4日(金)が様式4発行の受付締切、申請受付締切は2026年12月15日(火)17時00分です。
ラボくん質問役
様式4の締切の方が早いんですね、気をつけないと。
黒岩解説役
そこが一番の落とし穴です。次は、実際の申請手続きの流れをもう少し詳しく見ていきましょう。

申請の流れ

ラボくん質問役
さっきステップで教えてもらいましたけど、商工会とのやり取りがよくわからなくて。何回くらい商工会に行くものなんですか?
黒岩解説役
最低でも1回は面談が必要です。経営計画・補助事業計画を電子申請システムに入力したら、その内容を印刷して商工会に持ち込み、事業支援計画書(様式4)の発行依頼をします。ここで商工会の担当者から計画の内容や提出書類の過不足について確認を受けます。
ラボくん質問役
いきなり完璧な計画書を作らないといけないわけじゃないんですね。
黒岩解説役
そうです。むしろ商工会の担当者に相談しながら計画をブラッシュアップしていくのが一般的な進め方です。ただし「社外の代理人のみで商工会に相談する」ことはできない決まりになっているので、行政書士に依頼する場合でも、事業者本人が商工会とのやり取りに関わる必要があります。
ラボくん質問役
申請してから結果が出るまでどれくらいかかるんですか?
黒岩解説役
公募回によって変わりますが、申請受付締切からおおむね2〜3か月程度で採択発表になることが多いです。採択されても、そこからさらに補助事業を実施して実績報告をしないと入金されないので、資金計画には余裕を持たせてください。この資金繰りの話は、あとで詳しく説明します。

審査のポイント・攻略法

採択されやすい経営計画の書き方

1. 「誰に」「何を」「どうやって」販路開拓するのかを具体的に書く。「集客を強化する」だけでは弱く、「配送エリア内の小規模EC事業者に向けてホームページとチラシで直接営業する」のように対象を絞り込む 2. 数値目標を入れる。「ホームページ経由の問い合わせを月2件から月5件に増やす」など、取り組みの効果を測定できる形にする 3. 自社の強み・弱みを整理したSWOT分析的な視点を経営計画に反映させる。現場を知っている個人事業主ほど、この部分の説得力が出しやすい 4. 燃料費高騰や単価下落といった軽配送業界特有の経営課題と、取り組みの必要性を結びつけて説明する

ラボくん質問役
数値目標を入れるっていうの、盲点でした。ふわっと書いちゃいそうです。
黒岩解説役
そこが採択と不採択の分かれ目になることが多いんです。審査は加点項目の積み上げでも決まるので、賃上げ加点や事業計画の実現可能性なども見られます。行政書士や商工会の支援を受けながら、具体的な数字を入れた計画に仕上げることをおすすめします。
ラボくん質問役
なるほど、なんとなく書いて出す補助金じゃないんですね。
黒岩解説役
審査があり不採択になる可能性がある補助金だということは、公募要領の冒頭にもはっきり書かれています。申請したら誰でも受け取れるわけではない点は最初に押さえておいてください。次は、ほかの補助金との併用について話しましょう。

併用できるか

ラボくん質問役
この補助金、ほかの補助金と一緒に使えたりするんですか?さっき車両は対象外だって言ってましたけど。
黒岩解説役
同じ経費に複数の補助金を重ねて使うことはできませんが、対象経費が違えば他の制度と組み合わせることは可能です。むしろ軽配送の場合、この構成がおすすめです。車両にはCEV補助金や自治体のEV導入助成を使い、集客用のホームページやチラシには持続化補助金を使う、という役割分担です。
ラボくん質問役
なるほど、車両は別の補助金、販路開拓はこっち、って使い分けるんですね。
黒岩解説役
そうです。例えばCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)はEV軽バンなどの車両導入が対象なので、車両の入れ替えを考えているならこちらを検討してください。東京都で事業をしているなら東京都 EV・PHEV・FCV導入助成(事業用軽貨物対象)も車両向けの制度です。持続化補助金と組み合わせれば、車両とホームページ・広告の両方を計画的に整備できます。
ラボくん質問役
補助金って1個ずつ見てると全体像がわからなかったんですけど、組み合わせて考えるといいんですね。
黒岩解説役
制度ごとの役割がはっきり分かれているので、組み合わせて考えるのがコツです。ただし国の補助金同士の重複申請は制限されている場合があるので、実際に複数申請する際は商工会や行政書士に事前確認してください。次は、持続化補助金で一番誤解されやすい「資金繰り」の話です。

資金繰り(持続化補助金は後払いです)

ラボくん質問役
これ、聞いておかないといけないやつですよね。
黒岩解説役
そうです。持続化補助金は補助事業遂行の際には自己負担が必要となり、補助金は後払いという点が公募要領にはっきり書かれています。つまり「補助上限50万円」と聞いても、最初にその50万円は自分の口座から出ていくということです。

⚠ 立て替え払いが必須です

発注・契約・支払いは交付決定を受けたあとに行う必要があり、それより前に発注・購入・支払い(前払いも含む)をすると補助対象外になります。制作会社への発注は交付決定の連絡を確認してから行ってください。焦って先に発注すると、その分の経費が丸ごと補助対象から外れます。

ラボくん質問役
え、じゃあホームページ制作に50万円かかったとして、先に50万円全部払うってことですか?
黒岩解説役
そのとおりです。制作会社への支払いを終えて、実績報告書を提出し、補助金事務局の確認(確定検査)を経て、ようやく補助金が振り込まれます。採択から入金まで、事業実施期間も含めるとトータルで半年前後かかることも珍しくありません。
ラボくん質問役
軽バン1台でやってる身としては、先に50万円出すのはけっこう痛いです…。
黒岩解説役
感覚だけで捉えると資金繰りを見誤るので、まず「支出」と「入金」がどの順番で動くかを整理しておきましょう。
順序タイミング内容
①交付決定後発注・契約・支払い(自己負担。ここで実際にお金が出ていく)
②支払い後補助事業の実施(ホームページ制作・チラシ配布など)
③事業完了後実績報告書の提出
④実績報告後補助金事務局による確定検査
⑤確定検査後補助金の入金(採択から半年前後かかることも)
黒岩解説役
支払い(①)から入金(⑤)までの間、手元の資金が一時的に目減りします。その「一時的に必要になる立て替え額」がいくらになるかは、月ごとの支出と入金の累積を並べると見えてきます。以下は記入用の空欄です。ご自身の数字を当てはめて計算してみてください。
月この取り組みでの支出(円)この取り組みでの入金(円)累積支出(円)累積入金(円)差額(累積支出−累積入金)
1か月目
2か月目
3か月目
…
入金月(補助金入金額)

必要な立て替え額の考え方

表の「差額(累積支出−累積入金)」欄のうち、最大になる月の金額が、その時点で用意しておく必要がある立て替え資金の目安です。入金が発生する月より前は入金欄が0円のままなので、差額は支出の累積とほぼ同じ額まで膨らみ続けます。入金の具体的な時期は事業者ごとの採択時期・実績報告のタイミングで変わるため、この記事の情報だけでは確定できません。ご自身の場合の見込み時期は、採択後に商工会または補助金事務局へ確認してください。

黒岩解説役
そこで検討してほしいのが、つなぎ資金です。日本政策金融公庫の融資は、こうした「補助金の入金までの資金繰り」に使われることが多い選択肢です。金利や審査基準は別記事の日本政策金融公庫 新規開業資金で詳しく解説しているので、あわせて確認してみてください。
ラボくん質問役
なるほど、補助金は「もらえるお金」じゃなくて「立て替えてから戻ってくるお金」って考えた方がいいんですね。
黒岩解説役
そのとおりです。ここを甘く見て資金計画を立てると、事業自体のキャッシュフローが苦しくなります。次は、荷主・元請けとの関係で気をつけるべき点を簡単に触れておきます。

荷主・元請けの要件

ラボくん質問役
これは持続化補助金と直接関係あるんですか?
黒岩解説役
直接の要件ではありませんが、軽配送の個人事業主が安全管理の体制を整えることは、元請けからの信頼につながり、結果的に販路開拓の土台にもなります。1点誤解しやすいのが、「Gマーク(安全性優良事業所)を取れば信頼度が上がる」という話です。Gマークは一般貨物自動車運送事業者が対象の制度で、貨物軽自動車運送事業(軽貨物)は対象外です。
ラボくん質問役
え、軽貨物ってGマーク取れないんですか?
黒岩解説役
取れません。軽貨物の事業者が信頼性をアピールしたい場合は、Gマークではなく、貨物軽自動車安全管理者の選任や、事故記録・点呼記録といった安全管理の実施体制を整えることが実務上の対応になります。この点は貨物軽自動車運送事業 安全管理者の選任義務化(2025年4月施行)の記事で詳しく解説しています。
ラボくん質問役
そっちも読んでおいたほうがよさそうですね。
黒岩解説役
安全管理の体制づくりと、この持続化補助金による販路開拓は、それぞれ別の取り組みとして両方進めておくと、事業の土台がしっかりします。最後に、補助金を受け取ったあとの税務処理について説明します。

税務・会計

ラボくん質問役
補助金って、もらったら税金かかるんですか?
黒岩解説役
かかります。個人事業主の場合、受け取った補助金は事業所得の収入金額(雑収入)として計上する必要があります。「もらった全額が手元に残る」わけではなく、確定申告の対象になる点は覚えておいてください。
ラボくん質問役
そうなんですね…。何か節税できる方法とかあるんですか?
黒岩解説役
補助金を使って30万円未満の減価償却資産(機械装置等)を取得した場合、青色申告事業者であれば少額減価償却資産の特例を使って、取得価額の全額をその年の経費にできる場合があります(年間合計300万円が上限です)。20万円未満のものであれば一括償却資産として3年で均等に経費化する方法もあります。ただし持続化補助金は前述のとおり車両やパソコンなど汎用性の高いものには使えないので、対象になる資産は限られます。具体的な処理は顧問税理士に確認してください。
ラボくん質問役
わかりました、これは税理士さんに相談します。
黒岩解説役
それがいいと思います。では最後に、基本情報を一覧でまとめておきますね。

基本情報まとめ

項目内容
制度名小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>(第20回公募)
実施機関全国商工会連合会・各地商工会(商工会地区)、日本商工会議所・各地商工会議所(商工会議所地区)
公募要領公開2026年5月27日(水)
申請受付開始2026年11月5日(木)
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切2026年12月4日(金)
申請受付締切2026年12月15日(火)17時00分
補助上限額50万円(特例適用で最大250万円)
補助率2/3(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4)
対象地域日本国内(商工会・商工会議所の管轄地域)
公式ページhttps://official.jizokukanb.com/shinsei

類似する制度との比較

ラボくん質問役
ほかに軽配送で使える制度、どんなものがありますか?
黒岩解説役
車両にお金をかけたいならCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)、開業直後の運転資金なら日本政策金融公庫 新規開業資金、そもそも黒ナンバーをまだ取得していない場合は貨物軽自動車運送事業 経営届出(黒ナンバー)の届出が先です。東京都で事業をしているなら東京都 EV・PHEV・FCV導入助成(事業用軽貨物対象)もあわせて検討してください。
ラボくん質問役
いろいろ組み合わせて使えるんですね。1個だけ見てると気づかないことばかりでした。

よくある質問

ラボくん質問役
最後にいくつか確認させてください。開業したばかりでもいけますか?
黒岩解説役
申請時点で事業を開始していれば対象です。開業届を出していても、届出上の開業日が申請日より後の場合は「創業予定者」扱いで対象外になるので、開業日が過去日付になっているか確認してください。
ラボくん質問役
白色申告でも大丈夫ですか?
黒岩解説役
大丈夫です。青色・白色は補助対象者の要件には影響しません。ただし税務上の特例(少額減価償却資産の特例など)は青色申告が前提のものがあるので、そこは別の話です。
ラボくん質問役
不採択になったらどうすればいいですか?
黒岩解説役
持続化補助金は年に複数回公募があるので、次回以降に再チャレンジできます。不採択の理由(計画の具体性が弱い、数値目標がないなど)を商工会や支援機関に確認して、計画を練り直してから再申請する事業者は多いです。
ラボくん質問役
軽貨物の業務委託ドライバーでも申請できますか?
黒岩解説役
業務委託契約であっても、個人事業主として開業届を出して事業を営んでいれば申請自体は可能です。ただし前述のとおり「自ら販路開拓に取り組む」計画になっているかが審査のポイントになります。

問い合わせ先

小規模事業者持続化補助金事務局(商工会地区) 地域・所轄が不明な場合の問い合わせ: 03-6634-9307 電子申請システムの操作に関する問い合わせ(商工会地区): 03-6636-5569 受付時間: 9時00分〜12時00分、13時00分〜17時00分(土日祝日・年末年始を除く) 公式サイト: https://official.jizokukanb.com/shinsei ※申請内容や個別の経営計画に関する相談は、事業を営む地域を管轄する商工会・商工会議所へ直接問い合わせてください。

関連書類・リンク

資料リンク
公式ページ(申請案内)https://official.jizokukanb.com/shinsei
持続化補助金とは(制度概要)https://official.jizokukanb.com/jizokuka
中小企業庁 持続化補助金の概要(PDF)https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_jizoku_summary.pdf
中小企業・小規模企業者の定義(中小企業庁)https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html
ラボくん質問役
今日で「車両は買えないけど、販路開拓なら使える」ってことがよくわかりました。商工会に相談しに行ってみます。
黒岩解説役
経営計画を作る段階から商工会の担当者に相談しながら進めるのが、一番の近道です。数値目標を入れることだけは忘れないでくださいね。

よくある質問

開業したばかりでも申請できますか?

申請時点で事業を開始していれば対象です。開業届の開業日が申請日より後の場合は創業予定者として対象外になります。

白色申告でも申請できますか?

青色・白色は補助対象者の要件に影響しません。ただし少額減価償却資産の特例など税務上の一部特例は青色申告が前提です。

不採択になったらどうすればいいですか?

年に複数回公募があるため、不採択理由を確認したうえで計画を練り直し、次回以降に再申請できます。

業務委託契約のドライバーでも申請できますか?

個人事業主として開業していれば申請は可能ですが、自ら販路開拓に取り組む経営計画になっているかが審査で重視されます。