戸倉質問役
黒岩さん、ちょっと相談があるんですけど! 今N-VAN一台でやってるんですが、そろそろもう一台増やしたいなと思ってて。でも正直、車両代を一括で払える貯金はないんですよね…。こういうとき、補助金とは別に「融資」っていう選択肢があるって聞いたんですが、実際どうなんですか?
黒岩解説役
いい質問ですね。今日お話しする日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、まさに戸倉さんのような開業間もない個人事業主が車両購入資金や運転資金を借りるための制度です。補助金と違って審査に通れば先に現金が入ってくるのが最大の特徴で、後払いの補助金とは資金繰りの意味合いがまったく違います。
戸倉質問役
先にお金が入る…! それは助かりますね。ちなみに正式名称、「新規開業資金」って呼ばれることも多い気がするんですが、名前が変わったんですか?
黒岩解説役
鋭いところに気づきましたね。もともと「新規開業資金」という制度と、無担保・無保証人での利用に特化した「新創業融資制度」という制度が別々にありました。2024年3月に新創業融資制度が廃止されて、その内容が新規開業資金に統合され、現在の正式名称が「新規開業・スタートアップ支援資金」になっています。実務上は今でも「新規開業資金」と呼ぶ人が多いので、同じ制度だと思ってもらって大丈夫です。
戸倉質問役
なるほど、統合されたんですね。じゃあ、この制度がどんな内容なのか、具体的に教えてください。
「新規開業・スタートアップ支援資金」ってどんな制度?
黒岩解説役
このセクションでは、制度の骨格をまず押さえます。日本政策金融公庫は財務省所管の政府系金融機関で、民間の銀行が融資しづらい創業間もない事業者を積極的に支援するのが役割です。国民生活事業という個人事業主・小規模事業者向けの窓口があり、そこがこの制度の担当です。
戸倉質問役
銀行だと開業したてだと相手にされないですもんね、正直(笑)。
黒岩解説役
そうなんです。銀行は実績のない事業者にはなかなか貸してくれませんが、日本公庫は創業計画書ベースでこれからの事業性を見て審査してくれます。軽貨物の個人事業主でも、開業前の段階から申し込める点が大きいですね。対象になるのは「新たに事業を始める方」または「事業開始後おおむね7年以内の方」です。戸倉さんは開業4年目なので、まだ十分に対象です。
戸倉質問役
えっ、4年目でもいけるんですね! それは知らなかったです。じゃあ、具体的にいくらまで借りられるのか、金利はどれくらいなのか、そこが一番気になります。
融資限度額・返済期間・金利
黒岩解説役
ここが今日の本題です。まず数字を整理したテーブルを見てください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 資金使途 | 開業に必要な設備資金・運転資金 |
| 返済期間(設備資金) | 20年以内(うち据置期間5年以内) |
| 返済期間(運転資金) | 10年以内(うち据置期間5年以内) |
| 利率(年) | 基準利率。要件を満たすと特別利率A・B・Cのいずれかを適用 |
| 担保・保証人 | 希望を伺いながら相談。経営者保証免除特例制度の併用可 |

戸倉質問役
7,200万円って書いてありますけど、軽バン一台の個人事業主がそんなに借りられるわけないですよね…?
黒岩解説役
そのとおりです。7,200万円は制度上の上限であって、実際にいくら借りられるかは事業計画・自己資金・返済能力を見て個別に決まります。軽バン一台の追加購入や中古車への買い替えであれば、実際の融資額は数十万円から300万円前後のケースが多いです。看板の金額に惑わされず、自分の資金使途に見合った額を申し込むのがポイントです。
戸倉質問役
なるほど、上限イコール借りられる額じゃないんですね。据置期間っていうのもよく分からないんですが。
黒岩解説役
据置期間は元金の返済を先送りできる期間のことです。設備資金なら最大5年間、利息だけ払って元金の返済を待ってもらえます。開業直後で売上が安定しない時期に、毎月の返済額を利息分だけに抑えられるので、資金繰りがかなり楽になります。
戸倉質問役
それは助かりますね! 金利のほうはどうなってるんですか?「基準利率」とか「特別利率」とか、正直よく分からなくて。
黒岩解説役
基準利率が標準の金利で、そこから条件によって特別利率A・B・Cという優遇金利が適用されます。たとえば女性の方、35歳未満または55歳以上の方、認定市区町村の創業支援を受けた方などが特別利率Aの対象です。具体的な利率(パーセント)は日本公庫が半期ごとに見直すので、この記事では数字を固定せず申込時に最新の利率表を公式サイトか窓口で確認してくださいと案内しています。ここを古い数字のまま鵜呑みにすると、資金計画がずれてしまいます。
⚠ 担保・保証人は必須ではないが油断は禁物
2024年3月の制度統合で、多くの新規開業者が無担保・無保証人での相談が可能になりました。制度上は自己資金なしでも申込みは可能です。ただし実務上は、自己資金がまったく無い、または極端に少ない場合は審査で不利になりやすいという点は変わりません。可能な範囲で自己資金を用意しておくことをおすすめします。
戸倉質問役
無担保・無保証人でもいけるかもしれないってことですね。じゃあ次は、実際に自分が対象になるのかどうか、そこを教えてください。
対象者・申請資格
黒岩解説役
ここでは「誰が使えるか」を具体的に見ていきます。まず公式の要件はシンプルで、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方です。加えて「適正な事業計画を策定しており、その計画を遂行する能力が十分あると認められる方」という条件が付きます。つまり創業計画書がちゃんと書けることが前提です。
戸倉質問役
事業計画書か…。うちみたいな軽貨物一台の個人事業主でも、ちゃんと書けば通るものなんですか?
黒岩解説役
通ります。むしろ軽貨物は毎月の売上が読みやすい業種として、日本公庫からは比較的評価されやすい部類です。EC宅配やスポット便で月商55万円というような実績があれば、それをそのまま事業計画の根拠にできます。ここは他の補助金にありがちな「従業員を雇っていること」という要件が無いので、戸倉さんのような一人親方でもまったく問題なく対象です。
戸倉質問役
それは嬉しいですね! 他の補助金だと「従業員がいないとダメ」ってやつ、結構ありますもんね(笑)。
黒岩解説役
そうなんです。ここが軽貨物ドライバーにとってこの融資制度が使いやすい理由の一つです。逆に対象になりにくいケースも押さえておきましょう。
| ケース | 対象可否の目安 |
|---|---|
| 黒ナンバー1台の個人事業主(開業4年目) | 対象。事業計画書と直近の売上実績で申込可能 |
| これから開業する会社員(開業前) | 対象。創業計画書ベースで審査 |
| 開業8年目以上の個人事業主 | 「おおむね7年以内」を外れるため、この制度は対象外。別の融資制度の相談が必要 |
| 委託ドライバーから独立予定(まだ届出前) | 対象。ただし融資実行までに貨物軽自動車運送事業の経営届出が必要になる場合がある |
| 家賃や税金の滞納が続いている | 即NGではないが、滞納理由の説明が求められ審査は厳しくなる |
| 副業として軽貨物を始める(本業が別にある) | 事業計画次第で対象になり得るが、返済原資の説明がより厳しく見られる |
戸倉質問役
うちはど真ん中で対象ってことですね、安心しました! じゃあこのお金、実際何に使えるんですか?
資金の使いみち(軽配送での使いどころ)
黒岩解説役
このセクションが今日一番実務的なところです。公式には「新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金」が使いみちとされています。これを軽配送の現場に置き換えると、次のようなものが対象になります。
軽配送事業者がこの融資で買っているもの
- 新車・中古の軽バン(N-VAN、ハイゼットカーゴなど)の購入費、車両の買い替え費用
- EV軽バンの導入費用(補助金と組み合わせて自己負担分に充当するケースが多い)
- ドライブレコーダー、デジタルタコグラフ、バックカメラなどの安全装備
- 台車、保冷ボックス、ラゲッジネットなどの荷役用品
- 配車アプリの利用料、会計ソフトの導入費
- 開業直後の当面の運転資金(燃料費・保険料・生活費相当分)
戸倉質問役
EVの軽バンも対象なんですね! CEV補助金と併用できたりします?
黒岩解説役
できます。むしろEV軽バンは併用が前提のケースが多いです。CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)は車両価格の一部を補助してくれますが、補助金は原則後払いなので、納車時にはまず車両代金を全額支払う必要があります。その支払いをこの融資でまかない、補助金が入金されたら繰り上げ返済に充てる、という使い方が実務では一般的です。
戸倉質問役
なるほど、補助金の「つなぎ」としても使えるってことか。逆に使えないものってあるんですか?
黒岩解説役
あります。個人の生活費そのもの(住宅ローンの返済や車以外の私的な買い物)、事業と無関係な投資、他の借入の一括返済目的などは対象外です。あくまで事業計画に基づいた設備・運転資金である必要があります。
戸倉質問役
分かりました。じゃあ実際に申し込むとき、どんな流れになるんですか?
申請の流れ
黒岩解説役
流れ自体はシンプルです。ステップで整理しますね。
手続きの流れ
- 1事前相談(任意) — オンラインまたは支店窓口で事前相談を予約する。創業計画書のたたき台をこの段階で見てもらえる
- 2創業計画書の作成 — 日本公庫の様式に沿って、事業内容・資金使途・収支計画をまとめる
- 3インターネット申込 — 24時間365日受付。必要書類を電子データで準備してアップロードする
- 4面談 — 資金の使いみちや事業計画について直接ヒアリングを受ける。オンライン面談も可能
- 5審査 — 事業計画や資産・負債の状況をもとに、日本公庫が融資の可否と金額を判断する
- 6契約手続き — 融資が決定したら、日本公庫電子契約サービスで契約を締結する
- 7送金 — 契約完了後、指定した金融機関口座に融資金が振り込まれる

戸倉質問役
へえ、郵送とかじゃなくて、ネットで完結するんですね!
黒岩解説役
基本的にはインターネット申込が中心です。事業資金相談ダイヤル(0120-154-505、受付は平日9時から19時まで)に電話して、先に相談してから申し込む人も多いですね。日曜・祝日・年末年始(12月31日から1月3日まで)は電話がつながらないので、そこは注意してください。
戸倉質問役
申込窓口ってどこになるんですか?近くの銀行みたいな感じで選べます?
黒岩解説役
個人で創業する場合は、創業予定地の近くの支店が窓口になります。本店所在地や創業予定地が遠方の場合は、住んでいる場所に近い支店に相談することもできます。次は、この申込みで実際に何を用意すればいいか、書類の実務を見ていきましょう。
必要書類の実務
黒岩解説役
ここは実際に手を動かす部分なので、具体的にリストにします。
| 書類 | 取得場所・備考 |
|---|---|
| 創業計画書 | 日本公庫の様式をダウンロードして作成 |
| 見積書 | 設備資金(車両購入など)を申し込む場合に必要。ディーラーや販売店から取得 |
| 履歴事項全部証明書または登記簿謄本 | 法人の場合のみ。法務局で取得 |
| 運転免許証(両面)またはマイナンバーカード(表面)、パスポート | 本人確認書類 |
| 許認可証 | 許認可・届出が必要な事業を営んでいる場合。軽貨物の場合は貨物軽自動車運送事業経営届出書の控えが該当することが多い |
| 送金先口座の預金通帳の写し | 電子契約サービスを利用する場合に必要 |
| 確定申告書(直近分) | 開業後の申込みの場合、事業実績の確認資料として求められることが多い |
戸倉質問役
「許認可証」って、軽貨物だと何を出せばいいんですか?黒ナンバーの届出書のコピーとかですか?
黒岩解説役
そのとおりです。軽貨物の場合は貨物軽自動車運送事業の経営届出書の控えや、運輸支局から交付される受理印つきの書類がこれに当たります。まだ届出前の段階で申し込む場合は、「届出予定である」ことを事業計画書側で説明する形になります。この届出についてはこちらの記事でも詳しく解説しているので、まだ済んでいない方は先に確認しておくといいですね。貨物軽自動車運送事業 経営届出(黒ナンバー)
戸倉質問役
あとで見てみます。書類、思ったより多いですね…(笑)。
黒岩解説役
一つずつ揃えれば難しくはないです。次は、審査でどこを見られるのか、通りやすくするコツをお話しします。
審査のポイント・攻略法
黒岩解説役
審査で重視されるポイントは大きく3つです。
審査を通しやすくする3つのポイント
- 売上の安定性を数字で示す — 軽貨物は毎月の売上が読みやすい業種です。直近の確定申告書や請求書の控えで「毎月これくらいの売上が継続している」ことを示せると評価されやすくなります
- 資金使途を具体的に説明する — 「車が欲しい」ではなく「中古の軽バンを150万円で購入し、月間配送件数を◯件増やして月商をいくら増やす」というように、金額と効果をセットで説明します
- 個人の信用情報を整える — 家賃や税金、他の借入の返済が遅延していないか、事前に確認しておきます。多少の遅延があっても理由を説明できれば致命傷にはなりませんが、無い方が有利です
戸倉質問役
なるほど、「なんとなく車が欲しい」じゃダメなんですね。
黒岩解説役
そうです。認定経営革新等支援機関(税理士や中小企業診断士など)のサポートを受けて事業計画書を作ると、審査で有利に働くことがあります。一人で作るのが不安なら、商工会議所や税理士に相談してから申し込むのも一つの手です。
戸倉質問役
それは心強いですね! ちなみに、この制度って他の制度と一緒に使えるんですか?
併用できるか
黒岩解説役
この融資自体には、いくつかの特例制度が併用できます。経営者保証免除特例制度、創業支援貸付利率特例制度、賃上げ貸付利率特例制度の3つが公式に案内されています。それぞれ条件を満たせば、保証人なしにできたり、金利がさらに下がったりします。
戸倉質問役
さっき話に出たCEV補助金みたいな、他の補助金との組み合わせはどうですか?
黒岩解説役
それも可能です。国や自治体の補助金は基本的に対象経費が重複していなければ併用できるケースが多いです。ただし、同じ車両購入費に対して複数の補助金を同時に充てる「重複受給」は原則NGです。この融資はあくまで「補助金の入金までのつなぎ資金」や「補助対象外の部分の費用」に使うのが正しい位置づけです。併用を検討する際は、必ず申込み前に両方の窓口に確認してください。
戸倉質問役
重複はダメだけど、役割分担すればいいってことですね。じゃあ、さっきも少し出た「資金繰り」の話、もう少し詳しく聞きたいです。
資金繰り(補助金との違いを理解する)
黒岩解説役
ここが今日一番強調したいところです。補助金は原則として後払いです。CEV補助金のような車両購入系の補助金は、先に車両代金を全額支払い、必要書類を提出して交付が決定してから、数か月後にようやく振り込まれます。つまり「最大58万円戻ってくる」と言われても、その前に車両代金を一旦全額自分で立て替える必要があるんです。
戸倉質問役
マジですか、それ知らなかったら詰みますね…。150万円の車を買うのに、150万円をまず自分で払わないといけないってことですもんね。
黒岩解説役
そのとおりです。ここでこの融資が生きてきます。手元資金が足りない場合、この新規開業・スタートアップ支援資金で車両代金を立て替え、補助金が入金されたタイミングで繰り上げ返済する、という流れが軽貨物ドライバーにとって現実的な資金繰りです。据置期間があるので、開業直後で資金が心もとない時期でも、元金の返済を先送りしながら事業を軌道に乗せられます。
⚠ 「最大〇〇万円」の広告に注意
補助金の「最大◯◯万円」という表示だけを見て、手出しゼロで車が買えると誤解しないでください。実際には先払いが必要で、振込までに数週間から数か月かかるのが一般的です。融資を組み合わせるかどうかは、手元の運転資金と相談しながら判断してください。
戸倉質問役
これは本当に大事な話ですね。融資の申込みと、補助金の申込みって、どっちを先にやればいいんですか?
黒岩解説役
車両購入が絡む場合は、先に融資の相談を進めて資金の目処を立ててから、補助金の交付申請に進むのが安全です。補助金の交付決定前に契約・支払いをしてしまうと補助対象外になる制度もあるので、両方のスケジュールをすり合わせる必要があります。ここは制度ごとに細かいルールが違うので、必ず両方の窓口(日本公庫の担当者と補助金の事務局)に個別に確認してください。
戸倉質問役
分かりました。じゃあ、この融資を受けたお金って、税金の計算上どう扱われるんですか?
税務・会計
黒岩解説役
融資は補助金と違って借入金なので、受け取った時点では収入(益金)になりません。返済していく元金部分も経費にはならず、利息の部分だけが必要経費として計上できます。ここは補助金(受け取った年に原則として収入として計上する)と大きく違うところなので、混同しないようにしてください。
戸倉質問役
借りたお金は収入じゃないんですね。じゃあ車両を買った分は?
黒岩解説役
車両は資産として計上し、耐用年数に応じて減価償却していきます。国税庁の耐用年数表では、総排気量0.66リットル以下の軽自動車の法定耐用年数は4年です。青色申告をしている個人事業主であれば少額減価償却資産の特例を使える場合があります。2026年3月31日までは取得価額30万円未満の資産が対象でしたが、令和8年度税制改正でこの基準が見直され、2026年4月1日以後に取得した資産からは40万円未満まで対象が広がり、適用期限も2029年3月31日まで延長されています(年間合計300万円が上限であることは変わりません)。取得価額がこの基準を超える車両は、通常どおり複数年に分けて償却していく形になります。運送事業用として登録した車両は耐用年数の区分が変わる場合もあるので、購入する時点の最新のルールを税理士か国税庁のサイトで必ず確認してください。
戸倉質問役
税金の話は毎年変わるから怖いですね…。じゃあ、荷主さんとの関係で気をつけることってありますか?
荷主・元請の要件
黒岩解説役
軽貨物の場合、貨物軽自動車安全管理者を選任する義務があります。これは事業用軽自動車を1台でも使う以上、必ず必要です。もう一つよく誤解されるのがGマーク(安全性優良事業所認定)です。これは全日本トラック協会が実施する貨物自動車運送事業(一般貨物)向けの認定制度で、貨物軽自動車運送事業は対象外です。「軽貨物でもGマークが取れる」という情報を見かけたら、それは誤りなので注意してください。
戸倉質問役
Gマークは軽貨物では取れないんですね、覚えておきます。
黒岩解説役
この融資自体は荷主要件と直接は関係ありませんが、事業計画書に「安全管理体制をどう整えるか」を書くと、審査担当者への印象は良くなります。では最後に、この制度と似た制度との違いを整理しておきましょう。
類似する制度との比較
黒岩解説役
軽配送Laboで扱っている制度の中で、混同されやすいものを整理します。
| 制度名 | 種別 | この制度との違い |
|---|---|---|
| CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金) | 補助金 | 返済不要だが原則後払い。この融資とセットでの利用が現実的 |
| 貨物軽自動車運送事業 経営届出(黒ナンバー) | 許認可・届出 | 融資の前提となる手続き。開業には必須で、この届出が済んでいないと事業用車両として使えない |
| 新規開業・スタートアップ支援資金(この記事) | 融資 | 返済が必要だが先に現金が入る。補助金の「つなぎ」として機能する |
戸倉質問役
この3つセットで理解しておけば、開業の流れが見えてきますね。
黒岩解説役
そのとおりです。順番としては、経営届出を行って事業用ナンバー(黒ナンバー)の交付を受ける準備を進めながら、並行してこの融資の事業計画書を作り、車両が決まったらCEV補助金のような制度の対象になるか確認する、という流れが効率的です。
基本情報まとめ
黒岩解説役
最後に基本情報を一覧にしておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 新規開業・スタートアップ支援資金(旧:新規開業資金) |
| 実施機関 | 株式会社日本政策金融公庫(国民生活事業) |
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 対象者 | 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方 |
| 申込方法 | インターネット申込(24時間365日受付)。郵送も可 |
| 申込締切 | 通年受付。公募のような締切設定はなし |
| 相談窓口 | 事業資金相談ダイヤル 0120-154-505(平日9時から19時まで) |
| 公式サイト | https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html |
問い合わせ先
事業資金相談ダイヤル 0120-154-505(受付は平日9時から19時まで。日曜・祝日・年末年始(12月31日から1月3日まで)は利用不可)
戸倉質問役
締切がないのは助かりますね! 思い立ったときに動けるってことか。
黒岩解説役
そうです。ただし審査には数週間かかるので、車両が必要になるタイミングから逆算して早めに動くことをおすすめします。最後によくある質問をまとめておきます。
よくある質問
戸倉質問役
一人親方でも本当に大丈夫なんですよね?もう一回確認したいです。
黒岩解説役
大丈夫です。従業員を雇っていることは要件になっていません。個人事業主一人での申込みが前提の制度です。
戸倉質問役
開業前でも申し込めるって話でしたけど、まだ黒ナンバーの届出をしていない段階でもいけますか?
黒岩解説役
いけます。創業計画書に「これから経営届出を行う予定」と明記すれば申込み自体は可能です。ただし融資の実行までには届出を済ませておくよう求められるのが一般的です。
戸倉質問役
審査に落ちたら、もう申し込めないんですか?
黒岩解説役
一定期間を置けば再申込みは可能ですが、前回落ちた理由を改善しないと結果は変わりにくいです。事業計画のどこが弱かったのか、窓口や支援機関に確認してから再チャレンジすることをおすすめします。
戸倉質問役
中古車の購入でも設備資金として認めてもらえますか?
黒岩解説役
認められます。新車・中古車を問わず、事業に使う軽バンの購入費用は設備資金として申込みの対象です。見積書を用意しておいてください。
戸倉質問役
よく分かりました。まずは創業計画書、書いてみます。
黒岩解説役
いいと思います。分からないところが出てきたら、事業資金相談ダイヤルか、支店の窓口で遠慮なく相談してください。
関連書類・リンク
黒岩解説役
最後に、公式の資料へのリンクをまとめておきます。分からなくなったら、ここに戻ってきてください。
| 資料 | リンク |
|---|---|
| 新規開業・スタートアップ支援資金(公式) | https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html |
| 創業予定の方 お手続きの流れ(公式・必要書類一覧) | https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/tetsudukij_c.html |
戸倉質問役
ありがとうございます、まずはここから読んでみます。
黒岩解説役
あと一つだけ、借入額を決める前に見ておいてほしいものがあります。融資は先に現金が入る分、返済計画が甘いと後で苦しくなります。[軽貨物開業でよくある失敗と対策|案件ゼロ・資金不足を避けるには](/articles/47) に、開業後に案件が集まらず資金繰りに詰まった事業者の典型パターンをまとめているので、借入額を積み増す前に目を通しておくと、創業計画書の数字もより現実的になりますよ。
戸倉質問役
たしかに、借りられる額と返せる額は別ですもんね。今日中に読んでおきます。