戸倉質問役
黒岩さん、聞いてください! さっき配送で寄った運送会社さんの駐車場に、見慣れない緑ナンバーの大きいトラックが停まってて、「ハイブリッドトラックの補助金で買ったんだよ」って教えてもらったんです。うちも軽バン1台なんですけど、これ使えます?
黒岩解説役
結論から言うと、戸倉さんの黒ナンバー軽バンではこの制度は使えません。今日お話しする「令和8年度ハイブリッド及び天然ガストラック・バス導入支援事業」は、対象になる車両そのものが軽自動車の枠に入っていない制度なんです。がっかりさせるところから始めて申し訳ないんですが、まずはっきりさせてから、制度の中身を一緒に見ていきましょう。
戸倉質問役
えっ、いきなりですか(笑)。でも先に言ってもらえると心の準備ができます! じゃあ、そもそもどんな制度なんですか?
黒岩解説役
環境省の令和8年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金のうち、「環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業」という枠組みの一部です。実施団体は公益財団法人北海道環境財団で、トラックやバスを所有する事業者がハイブリッド車や天然ガス車を導入するときの費用の一部を補助して、CO2排出を減らすのが目的です。公募期間は令和8年7月17日から令和9年1月29日18時必着までです。
戸倉質問役
北海道の財団さんなんですね。北海道の事業者しか使えないんですか?
黒岩解説役
いえ、名前に北海道と付いていますが全国の事業者が対象です。環境省から全国向けの執行団体として指定されているだけで、対象地域は日本全国です。ここは誤解しやすいので覚えておいてください。
対象になるのは誰か
黒岩解説役
ではここからが本題です。対象事業者は「トラックを事業の用に供する者」「トラックの貸渡し(リース)を業とする者」「バスを事業の用に供する者」「バスの貸渡し(リース)を業とする者」の4区分です。
| 区分 | 内容 |
|---|
| ① | トラックを事業の用に供する者(トラック所有事業者) |
| ② | トラックの貸渡し(リース)を業とする者 |
| ③ | バスを事業の用に供する者(定員11人以上) |
| ④ | バスの貸渡し(リース)を業とする者 |

戸倉質問役
この4つ、うちみたいな軽貨物ドライバーは入ってますか?
黒岩解説役
文言だけ見ると「トラックを事業の用に供する者」に軽トラックも含まれそうに読めますよね。ですが実際に補助を受けられるかどうかは、対象車両一覧に載っている車両を買うことが大前提です。北海道環境財団が公表している対象車両一覧には、いすゞ自動車と日野自動車の車種しか掲載されていません。
戸倉質問役
いすゞと日野…。うちのN-VANとかハイゼットカーゴとは全然違うメーカーですね。
黒岩解説役
そのとおりです。いすゞと日野は普通・小型トラックとバスを作るメーカーで、軽自動車規格(排気量660cc以下)の車両は作っていません。軽トラック・軽バンを作っているのはスズキ・ダイハツ・ホンダなどですが、対象車両一覧にこれらのメーカーの車種は載っていません。さらに言うと、そもそも国内で市販されているハイブリッドの軽トラック・軽バンや天然ガスの軽トラック・軽バンという車自体が、今のところ存在しません。
⚠ 黒ナンバー軽バン・軽トラは対象外です
この補助金の対象車両一覧に掲載されているのはいすゞ・日野の普通・小型トラックとバス(定員11人以上)だけです。軽自動車規格のハイブリッド車・天然ガス車は市販されていないため、軽トラック・軽バンはそもそも対象車両一覧に載る余地がありません。軽バン1台の個人事業主は、残念ながらこの制度の対象外だとはっきり申し上げます。
戸倉質問役
車自体が売ってないんじゃ、どうしようもないですね…。マジですか。でも、じゃあこの制度は誰のためのものなんですか?続けて教えてください!
補助額はいくらか
黒岩解説役
気を取り直して、対象になる事業者向けの中身も見ていきましょう。この補助金は定額補助ではなく差額補助方式です。対象になるハイブリッド車・天然ガス車の価格と、同じクラスの標準的な燃費基準を満たすガソリン車・ディーゼル車の価格を比べて、その価格差の2分の1が補助額になります。

| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助率 | 対象車両価格と同クラスの標準的燃費基準自動車価格との差額の2分の1 |
| 全国一律の上限額 | 設定なし(車種ごとに個別算定) |
| 算定に使う情報 | 北海道環境財団が公表する対象車両一覧・銘柄別の価格差データ |
戸倉質問役
車種ごとに金額が違うから、パンフレットに「最大○○万円」みたいな一律の数字が書けないってことですね!
黒岩解説役
そういうことです。緑ナンバーの運送会社がこの補助金を使う場合も、まず対象車両一覧で自分が買いたい車種の価格差を確認してから、実際の補助額を見積もることになります。
戸倉質問役
なるほど、そういう仕組みなんですね。うちには関係ない金額の話でしたけど、頭には入りました。じゃあ、対象になる経費とならない経費も教えてもらっていいですか?
対象経費・対象外経費
黒岩解説役
対象になるのは、対象車両一覧に掲載されたハイブリッド車・天然ガス車本体の購入費用です。公募期間中(令和8年7月17日から令和9年1月29日まで)に新車で登録した車両が対象になります。中古車の購入や、対象車両一覧に載っていない車種、架装・オプション部品単体の追加購入費用は対象外です。
戸倉質問役
買ってから対象外って分かったら悲惨ですね(笑)。
黒岩解説役
本当にそうです。この制度には通常申請(購入前)と実績申請(購入後)の2種類の申請方法があるので、できれば購入前の通常申請で対象車両かどうかを先に確定させておくのが安全です。次は、うちみたいな軽配送の事業者がこの制度とどう付き合えばいいのか、具体的に見ていきましょう。
軽配送での使いどころ
戸倉質問役
さっき「対象外」って言われたばかりですが、それでも軽配送に関係あるんですか?
黒岩解説役
直接この補助金で軽バンやパーツが買えるわけではありません。ただ知っておくと役に立つ場面が3つあります。1つ目は、事業を拡大して緑ナンバーの中型・大型トラックを持つ段階まで成長したとき。そのタイミングでこの補助金が使えるようになります。2つ目は、荷主や元請の運送会社がこの補助金を使って車両を入れ替えている場合があるので、業界の動きとして知っておくと商談で話が通じやすくなります。3つ目は、車両をリースで使っている運送会社に対して、リース会社がこの補助金を使ってリース料を下げてくれることがある、という仕組みを理解しておくことです。
戸倉質問役
軽バン1台のうちには直接関係なくても、業界の流れとしては知っておいたほうがいいってことですね。じゃあ、うちみたいな軽バン1台の個人事業主が車まわりで使える制度って、他に何かあるんですか?
対象になる/ならない典型ケース
戸倉質問役
ケース別に聞いてみたいです。うちみたいな軽バン1台の個人事業主はどうですか?
黒岩解説役
対象外です。貨物軽自動車運送事業の経営届出で開業している軽バン・軽トラックは、対象車両一覧に載っている車種を買えない以上、事業者としての区分(①〜④)に当てはまっていても実質的に補助を受けられません。
戸倉質問役
軽貨物を10台くらいまで増やした事業者さんは?
黒岩解説役
それでも軽自動車である限りは対象外です。台数の問題ではなく、車両そのものが対象車両一覧に載っていないという構造なので、何台に増やしても状況は変わりません。逆に、一般貨物自動車運送事業の許可を取って緑ナンバーの中型・大型トラックを保有する会社であれば、対象車両一覧の車種を選ぶ限り対象になり得ます。
黒岩解説役
バスも対象ですが、定員11人以上という条件があります。送迎用の小型バスでも定員が10人以下だと対象外になるので、そこは注意が必要です。
必要書類の実務
戸倉質問役
仮に対象になる会社さんがいたら、何を用意すればいいんですか?
黒岩解説役
主なものを挙げますね。まず対象車両の見積書または契約書の写し、車検証(登録後は事業用の車検証)、通常申請と実績申請それぞれの様式一式です。リース事業者が申請する場合は、貸渡し先(実際に使う事業者)の情報も合わせて提出します。申請は電子申請システムのJグランツ、または電子メールで提出する形になっています。
黒岩解説役
この制度の公募情報ではJグランツか電子メールでの提出が案内されています。前にお話しした緑ナンバー向けの別の補助金(低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業)では郵送も使えましたが、制度ごとに提出方法が違うので、申請のたびに最新の公募要領を確認する習慣をつけておくと安心です。
申請の流れ
手続きの流れ
- 1対象確認 自社がトラック・バスの所有事業者またはリース事業者に該当し、購入予定の車両が対象車両一覧に掲載されているか確認する
- 2公募要領の確認 北海道環境財団のホームページで公募要領・交付規程・よくある質問を確認する
- 3通常申請(購入前) 車両を発注する前にJグランツまたは電子メールで通常申請を行う
- 4車両登録 公募期間内(令和8年7月17日〜令和9年1月29日)に対象車両を新車登録する
- 5実績申請 車両登録後、必要書類を添えて実績申請を行う
- 6交付決定・入金 審査を経て交付決定され、補助金が入金される
⚠ 購入前に必ず通常申請を行ってください
先に車両を発注・購入してしまうと、実績申請だけでは対象外になる可能性があります。対象車両一覧の確認と通常申請は、必ず車両の発注前に済ませてください。
戸倉質問役
通常申請と実績申請の2段階って、ちょっとややこしいですね。
黒岩解説役
そうですね。先に「この車両で申請します」と宣言してから、実際に買って登録したあとに「買いました」と報告する2段階方式です。うちみたいな軽配送には縁のない制度ですが、緑ナンバーの会社さんが車両更新の計画を立てるときはこの順番を覚えておくと役立ちます。次は審査のポイントを見ていきましょう。
審査のポイント・攻略法
審査を通すための実務ポイント
対象車両一覧に掲載されている車種かどうかを、発注前に必ず北海道環境財団のホームページで確認してください。掲載されていない型式やグレード違いだと対象外になります。また通常申請と実績申請の2段階方式なので、車両を先に買ってしまってから申請するのは避けるのが安全です。予算には限りがあるので、公募期間の後半になるほど残額が少なくなる可能性がある点も踏まえて、早めに動くことをおすすめします。
戸倉質問役
先に申請してから買う、が鉄則なんですね! 次は、ほかの制度と一緒に使えるかどうかも気になります。
併用できるか
戸倉質問役
補助金って、他の制度と一緒に使えたりするんですか?
黒岩解説役
この事業の対象になる緑ナンバーの会社さんの場合、同一車両・同一経費に対して国の他の補助金と重複して受け取ることは基本的にできません。自治体独自の上乗せ助成がある場合は、その自治体の要綱次第になるので個別確認が必要です。
戸倉質問役
うちの場合はそもそも対象外だから関係ないですけど(笑)。
黒岩解説役
そうなんですが、将来事業を大きくして緑ナンバーを持つようになったときのために覚えておいて損はないですよ。次は、軽配送の読者さんが一番気にする資金繰りの話をしましょう。
資金繰り
戸倉質問役
補助金の話でいつも気になるのが、お金がいつ入ってくるかなんですよね。
黒岩解説役
大事な視点です。この制度は対象になる緑ナンバーの事業者にとっても原則後払いです。実績申請で車両登録と必要書類の提出を済ませたあとに補助金が交付される流れなので、車両代金はまず自己負担で全額支払う必要があります。差額の2分の1という補助率であっても、対象車両自体が数百万円単位のトラックなので、一旦用意しないといけない金額はかなり大きくなります。
戸倉質問役
うちには関係ない話ですけど、それでも「半額補助」だけ聞いて喜んじゃダメですね!
黒岩解説役
そのとおりです。もし戸倉さんのように黒ナンバー軽貨物で、今の資金繰りに不安があるなら、この制度ではなく別の選択肢を考えるべきです。開業資金や運転資金なら
日本政策金融公庫の新規開業資金のような制度融資が個人事業主でも使える可能性があります。補助金は後払いが基本なので、つなぎ資金の相談先を先に持っておくことが、どんな制度を使うときにも効いてきます。
荷主・元請の要件
戸倉質問役
荷主さんとか元請さんの話で、何か関係することはありますか?
黒岩解説役
この事業自体に荷主要件はありませんが、関連してよく誤解される話をひとつ。運送業界で話題になるGマーク(貨物自動車運送事業安全性評価事業)は、一般貨物自動車運送事業者が対象の制度で、貨物軽自動車運送事業、つまり黒ナンバー軽貨物は対象になりません。荷主から聞かれても、その旨を正直に説明すれば問題ありません。
黒岩解説役
実際に多い相談です。制度の対象外なだけで、ドライバーとしての実力とは関係ありません。安全運転の実績は、Gマークがなくても事故防止や任意保険の等級維持という形でちゃんと評価されます。
税務・会計
戸倉質問役
最後に、もし対象の会社さんが補助金をもらったら、税金の扱いはどうなるんですか?
黒岩解説役
補助金は原則として法人税・所得税の計算上益金・収入に算入されます。受け取った年度の所得に加算されるので、その分の納税資金も見込んでおく必要があります。ただし圧縮記帳という制度を使うと、補助金相当額を圧縮損として計上し、その年度の税負担を将来に繰り延べることができる場合があります。車両のような減価償却資産を補助金で取得したときによく使われる仕組みです。
黒岩解説役
個人事業主の場合、少額減価償却資産の特例(青色申告で30万円未満の資産を一括で経費にできる制度)や一括償却資産の特例もありますが、今回のような数百万円単位のトラック本体には基本的に当てはまりません。通常の減価償却で数年かけて費用化することになります。この整理自体は、戸倉さんが将来事業を拡大したときにもそのまま使える知識ですよ!
基本情報まとめ
戸倉質問役
最後にざっくり全体像を整理してもらえますか?
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 令和8年度ハイブリッド及び天然ガストラック・バス導入支援事業(環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業) |
| 実施機関 | 公益財団法人北海道環境財団(環境省 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金) |
| 対象地域 | 全国 |
| 公募期間 | 令和8年7月17日〜令和9年1月29日18時必着 |
| 補助率 | 対象車両価格と同クラスの標準的燃費基準自動車価格との差額の2分の1 |
| 対象車両 | 対象車両一覧に掲載されたいすゞ・日野のハイブリッド車・天然ガス車(トラック・バス) |
| 公式サイト | https://www.heco-hojo.jp/yR08/trkbus/trkbus_kohbo.html |
問い合わせ先
公益財団法人北海道環境財団 補助事業部 電話 011-206-1573 メール trkbus_ask@heco-hojo.jp 受付 公募要領・交付規程は公式サイトから随時ダウンロード可能 公式サイト https://www.heco-hojo.jp/yR08/trkbus/trkbus_kohbo.html
類似する制度との比較
戸倉質問役
似たような制度もついでに知っておきたいです!
黒岩解説役
今日の制度は緑ナンバーの普通・小型トラックとバス向け、CEV補助金は黒ナンバーの軽バンでも使えるというのが一番の分かれ目です。軽バン1台で開業している人がEVを検討するなら、まずCEV補助金のページを見てもらうのが早いと思います。
よくある質問
戸倉質問役
最後にQ&A形式でまとめてもらえますか?
戸倉質問役
軽トラや軽バンでの申請は本当に一切できないんですか?
黒岩解説役
できません。対象車両一覧に掲載されているのはいすゞ・日野の普通・小型トラックとバスだけで、軽自動車規格のハイブリッド車・天然ガス車は現時点で市販されていないため、対象車両一覧に載る車種自体が存在しません。
黒岩解説役
対象車両一覧に掲載された普通・小型トラックやバスを所有する個人事業主であれば対象になり得ます。ただし軽貨物の個人事業主は対象外です。
黒岩解説役
いいえ、公募期間中に新車で登録した車両が対象です。中古車の購入は対象外です。
黒岩解説役
実績申請で車両登録と必要書類の提出、審査完了を経てからの後払いです。先に車両代金を全額自己負担で支払う必要があります。
関連書類・リンク
黒岩解説役
最後に一次情報のリンクをまとめておきます。申請を検討する場合は、必ず最新の公募要領をご自身で確認してください。
| 資料 | リンク |
|---|
| Jグランツ制度ページ | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDdPBMA1 |
| 北海道環境財団 公募情報ページ | https://www.heco-hojo.jp/yR08/trkbus/trkbus_kohbo.html |
| 環境省 報道発表 | https://www.env.go.jp/press/press_05297.html |
戸倉質問役
今日は「うちには使えない」って結論からでしたけど、なんでダメなのかがちゃんと分かったのはよかったです。ありがとうございました!
黒岩解説役
制度が立派でも、自分が対象かどうかが分からなければ意味がありません。今日みたいに「対象外ならその理由」までセットで持ち帰ってもらえたら、それがいちばんの成果です。事業を拡大するタイミングが来たら、またこの記事を思い出してください!
戸倉質問役
今のうちの軽バンでも使える制度、他に何かないですかね。
黒岩解説役
この制度は対象外でしたが、軽バンの買い替え自体を検討しているなら、まずは新車と中古車のどちらが資金繰りに合うかを整理しておくのが近道です。[軽バンは新車と中古どちらがいいか|車両選びとリース・ローンの比較](/articles/46)にリースやローンの選び方もまとめてあるので、参考にしてください。
戸倉質問役
それなら今すぐ読めそうです。さっそく見てみます!
よくある質問
軽トラや軽バンでの申請は本当に一切できないんですか?
できません。対象車両一覧に掲載されているのはいすゞ・日野の普通・小型トラックとバスだけで、軽自動車規格のハイブリッド車・天然ガス車は現時点で市販されていないため、対象車両一覧に載る車種自体が存在しません。
個人事業主でも申請できますか?
対象車両一覧に掲載された普通・小型トラックやバスを所有する個人事業主であれば対象になり得ます。ただし軽貨物の個人事業主は対象外です。
中古車でも申請できますか?
いいえ、公募期間中に新車で登録した車両が対象です。中古車の購入は対象外です。
補助金はいつ振り込まれますか?
実績申請で車両登録と必要書類の提出、審査完了を経てからの後払いです。先に車両代金を全額自己負担で支払う必要があります。