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複数台の車両管理でありがちなミスと対策|台帳・エクセル管理の限界

複数台の軽貨物車両を管理する事業者向けに、エクセル台帳で起きやすいミスと、システム化を検討する目安を整理しました。

執筆・査読: 軽配送Labo 編集部(株式会社ファンリミット) /

一次ソースを確認して執筆し、査読のうえ公開しています。現場コメントは実際に軽配送に携わる運営メンバーが書いています。 記事の作り方

車両が増えるほど、台帳・エクセル管理は破綻しやすくなる

軽貨物の車両が1台から2台、3台と増えていくと、車検・保険・点検・給油記録・点呼記録といった管理項目が車両の台数分だけ積み上がります。エクセルの台帳1枚で回していたやり方は、3台を超えたあたりから「更新漏れ」「二重入力」「担当者しか分からない」という形でほころびが出やすくなります。台帳が破綻する前に、どこにミスが起きやすいかを知っておくと対策の優先順位がつけやすくなります。

この記事で分かること

  • 複数台の車両管理で実際によく起きるミスのパターン
  • 車検・点検・点呼記録それぞれの管理漏れが起きやすい理由
  • 軽貨物運送事業者に課されている記録・保存義務の概要
  • エクセル管理を続けてよい規模と、見直しを検討すべき規模の目安
  • システム化を検討する際の考え方

軽配送の複数台管理で起きやすいこと

1台のオーナードライバーであれば、車検日や保険更新日は「自分の車のことだから覚えている」で乗り切れることが多いです。ところが台数が増えて委託ドライバーに車両を割り当てるようになると、状況が変わります。

  • 車両ごとに車検・任意保険・自賠責の満了日がばらばらで、担当者の頭の中だけで管理していると抜け落ちる
  • エクセルのシートが車両ごと・月ごとに分かれてしまい、どのファイルが最新版か分からなくなる
  • 台帳の更新を特定の1人に頼っていて、その人が休むと更新が止まる(属人化)
  • 点呼記録・日報が紙やメモのまま残っていて、後から集計や確認をするのに時間がかかる
  • 車両の入れ替え・売却・追加があったときに、台帳の反映が数週間遅れる

これらは軽配送に限った話ではありませんが、案件対応で日中はほぼ運転席にいるという軽貨物事業者の働き方だと、管理業務にまとまった時間を割きにくく、後回しにされがちという点が特有の事情です。

車両管理に関わる法令上のルール

軽貨物(黒ナンバー)事業者には、安全対策に関わる記録・保存の義務があります。国土交通省は貨物軽自動車運送事業の安全対策を令和7年4月(2025年4月)に強化しました。

新たに義務化された対策の一つが、貨物軽自動車安全管理者の選任です。国土交通省のリーフレットでは次のように示されています。

貨物軽自動車運送事業者は、営業所ごとに「貨物軽自動車安全管理者」を選任しなければいけません。

(出典: 国土交通省「貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正について」リーフレット)

業務記録についても、記録・保存の対象になっています。

貨物軽自動車運送事業者は、行った業務について主に以下の項目等の記録を作成し、1年間保存しなければいけません。(運転者等の氏名、車両番号、業務の開始・終了及び休憩の日時・地点、業務に従事した距離、主な経過地点 等)

(出典: 同リーフレット)

点呼についても、国土交通省が公開している案内で次のように示されています。

点呼の内容は日々点呼記録簿に記録したうえで1年間保存しなければいけません。

(出典: 国土交通省「貨物軽自動車運送事業者の皆様へ(点呼記録簿の例)」)

車両が1台のときはこれらの記録を自分のためだけに残せばよいですが、複数台・複数ドライバーになると、記録の様式や保存場所を揃えておかないと「誰の記録がどこにあるか分からない」状態になりやすくなります。

エクセル管理そのものが悪いわけではありません。台数が少ないうちはエクセルで十分に対応できます。ある車両管理の解説記事では、次のように整理されています。

営業車や社用車が少ないうちは、Excelで台帳を整えるのは悪くない。ただし、車検、保険、予約、利用履歴、整備、アルコールチェックまで広がると、Excelだけでは期限切れや記録漏れが起きやすくなるぞ。

(出典: 脱エクセル研究所「無料・登録不要の車両管理表Excelテンプレート|使い方とシステム化の判断基準」)

管理項目の数と車両台数が増えるほど、エクセルの表計算だけでカバーしきれる範囲を超えていく、という考え方は軽配送事業者にもそのまま当てはまります。

具体例で見る、台帳管理が崩れるタイミング

  • 2台目を追加したとき: 1台用の台帳をコピーして使い始めるが、シートが分かれることで「どちらが最新か」問題が発生しやすい
  • 委託ドライバーが増えたとき: 点呼・日報の記録を本人任せにすると、記入フォーマットがバラバラになり集計に手間がかかる
  • 車検・保険の更新月が重なったとき: 台帳を毎日見返す習慣がないと、更新期限の通知に気づかず期限ギリギリになる
  • 車両を入れ替えたとき: 旧車両の記録を残しつつ新車両の情報を追加する作業が漏れ、過去の点検履歴が追えなくなる

これらは「台帳の運用ルールを決めていなかった」ことが根本原因であるケースが多く、システムを入れる・入れないに関わらず、まず記録の粒度と更新のタイミングを揃えることが対策の第一歩になります。

保有台数×管理手段の切替ラインの目安

台帳・エクセル・システムのどれが向いているかは、保有台数だけでなく管理項目の数(車検・保険・点検・点呼記録・アルコールチェックなど)によっても前後します。目安として台数別に分けると、次のようになります。

保有台数の目安管理手段の目安切替を考えるきっかけ
1〜2台エクセルや手帳の台帳で十分に対応できることが多い担当者(自分)が全車両の期限を把握できていれば、無理に変える必要はない
3〜5台前後エクセル台帳でも対応できる範囲だが、更新ルールを決めておかないと崩れやすい分岐点車検・保険の更新月が重なる、委託ドライバーが増えて記録フォーマットが揃わなくなる、台帳更新が特定の1人に依存している
6台以上台帳の目視確認だけでは管理項目の把握が追いつきにくくなり、システム化(クラウド管理・リマインダー機能など)を検討する事業者が増える印象車両ごとの期限をExcelの関数や色分けだけで維持するコストが増え、複数人での同時更新や一覧管理が欲しくなる

あくまで目安であり、車両ごとの管理項目の多さや委託ドライバーの人数によって前後します。台数だけで判断するより、「台帳の更新が特定の1人に依存していないか」「実際に更新漏れが起きたことがあるか」を合わせて確認するほうが、実態に近い判断材料になります。

よくある質問

Q. エクセル管理でも法令上の記録義務は満たせますか。 A. 様式や保存期間の要件を満たしていれば、エクセルでの記録自体は問題ありません。国土交通省も業務記録・点呼記録の様式例を公表しています。課題になるのは様式ではなく、複数台・複数人になったときの更新漏れ・属人化のほうです。

Q. 何台くらいからシステム化を検討すべきですか。 A. 明確な基準はありませんが、車検・保険・点検・点呼といった管理項目が車両ごとに重なり始める3〜5台前後から、台帳の更新漏れを感じ始める事業者が多い印象です。台数よりも「管理を1人に依存しているかどうか」のほうが判断材料になりやすいです。

Q. 点呼記録や業務記録の保存期間はどのくらいですか。 A. 点呼記録簿は1年間の保存が必要です。業務記録についても国土交通省が様式例を公表しており、記録・保存の対象になります。詳細な保存期間や記載項目は国土交通省の案内を確認してください。

注意点

⚠ 台帳だけ整えても運用が続かなければ意味がない

台帳のフォーマットを立派に作っても、更新する習慣・ルールがなければ数ヶ月で形骸化します。「誰が」「いつ」「何を」更新するかを先に決めてから台帳を作るほうが、結果的に長続きします。また、車検・保険の満了日のように事故や罰則に直結する項目は、台帳だけに頼らずリマインダーを別途設定しておくと安全です。

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車両管理をエクセルからシステムに移す際の考え方は、車両管理・点検記録をデジタル化するメリットで詳しく整理しています。車両管理と合わせて配車業務も見直したい場合は、配車業務のDX化、何から始めればよいかも参考になります。

車検・点検・免許更新の期限を特定の担当者の記憶に頼らず管理する方法は、車検・点検・免許更新の管理を属人化させないための仕組み作りにまとめています。

労務管理・日報・点呼記録の体制づくりにかかる費用については、働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)で一部を助成できる場合があります。車両の入れ替え時期に合わせてEV車両への切り替えを検討する場合は、商用車等の電動化促進事業(軽バンEV)も候補になります。

まとめ

複数台の車両管理でエクセル台帳が崩れるのは、台数そのものより「管理項目の増加」と「担当者依存」が重なったときです。まずは記録の粒度と更新ルールを揃え、それでも管理が追いつかなくなってきたタイミングでシステム化を検討するという順番で考えると、無理のない見直しができます。

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